さくらねこTNRについて
飼い主のいない猫(野良猫)に対し「さくらねこTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す。その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットする)」を実施すること。繁殖を防止し、一代限りの命を全うさせ飼い主のいない猫(野良猫)に関わる苦情や殺処分の減少に寄与する活動です。
Trap/捕獲
捕獲器やゲージなどで野良猫を捕獲します。捕獲器に猫が入ったら、すぐに布やタオルで捕獲器を包み、少しでも猫を安心させるようにします。パニックになり暴れる場合もあるので、怪我をしないように気をつけてください。
Nueter/不妊去勢手術
不妊去勢手術をし、手術を施した猫の耳先をV字にカットをします。目印をつけることで、再度捕獲された場合でも、手術済みの猫と一目で分かります。なお、この耳カットをした猫は『さくらねこ』と呼ばれています。
Return/元いた場所へ返す
捕獲した場所と必ず同じ場所に返します。通常、猫は一晩で回復するため、翌日には元気に帰っていきます。
沖縄県の現状
近年、沖縄県の殺処分頭数は大きく減少しています。その大きな要因の一つとして、平成25年の動物愛護法の改正により、終生飼養の趣旨に照らして相当の理由がない場合に所有者からの引取りが拒否できる規定が設けられました。そして、同法の附帯決議により、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう各地方自治体を指導することとの決議が盛り込まれました。私たちも殺処分が減ることを当然望み、飼い主のいない猫(「野良猫」以下同じ)に関わる苦情などによる駆除目的の引き取り拒否は今後も続けていただきたいと考えております。
数字と相反する野良猫の置かれた現状。
無責任な人による猫の遺棄が絶えません。また、地域からは苦情が増え、忌み嫌われ、餌やり禁止になったり、毒殺まで起こっています。野良猫は自由でのんびり暮らしてるように見えますが、現実は過酷です。特にまちなかで生きる猫に居場所がありません。問題を解決するためには、猫を好きになれということではなく、市民の皆様には現状を知ってもらい、課題を解決するための方法をご理解していただくしかありません。それらを踏まえた上で、最善の方法として、飼い主のいない猫を命あるものとし、これ以上増えないために、「不妊去勢手術」をすること。さらに苦情を減らすために「適正な給餌、糞尿被害対策、給餌後の清掃」をすることです。
不妊去勢手術の必要性
殺処分になる猫のほとんどが幼猫です。1匹の母猫から産まれてくる仔猫は約6匹。不妊手術をしていない場合、70匹以上に増える可能性もあります。また、沖縄県は温暖な気候から、県外より繁殖回数が多く、年4回でほぼ一年中と言われています。また、仔猫でも妊娠する可能性があり、4か月で妊娠していたケースもあります。
苦情を減らすために
「猫がゴミを荒らす」「糞尿のにおいがひどい」といった地域住民の方の苦情もあります。野良猫がいてもイライラしない地域社会にすることが人と猫の共生に必要です。苦情が減れば、猫を引き取ってもらおうという人は減り、結果として殺処分が減少します。
- マーキングによる独特の匂いが軽減される。
- 発情期の鳴き声、喧嘩の鳴き声が減ります。
- 仔猫が生まれないので増えません。
- 増えないことにより、地域住民に安心感を与えます。
ねこが嫌われないために...
TNRをしても、猫が嫌われてしまうと意味がありません。餌やりは法律的に違反ではありませんが、苦情になる場合もあります。人にも猫にも迷惑をかけないように、餌やりマナーを守りましょう。写真のような放置餌には蟻やゴキブリなどが集まります。
- 放置餌や餌のばら撒きはやめましょう。
放置餌をすると…
①食べ残しが腐ったり、虫が湧いたりし不衛生になり苦情になる
②他の場所から猫が集まってくる - 片付けられない場合は食べきる量にしましょう。
- 時間に余裕があれば、掃除をしましょう。
地域の方の声を聞く
TNRで度々問題になるのは地域の方々との関係です。糞尿の被害に遭われるのは地域の方々であり、中には猫自体苦手な方もいます。そんな事をするより殺処分してほしい、他の所へ連れていってほしいと考える人も居るのも現状です。しかし、その方々の理解無くしては良いTNR活動は出来ないと思います。その為には地域の方々と良い関係を築くことも大切になってきます。そこを疎かにしてしまったら、愛護の理解が深まるどころか愛護活動に拒否感を抱かせてしまうこともあります。挨拶や地域の方々の考えや話を聞き、良い関係を築きながら活動の意味と必要性を押し付けるのではなく地道に行動で示すことによって、TNRを理解し、協力を得る近道なのではないかと思います。
どうぶつ基金無料不妊去勢手術チケットについて
公益財団法人どうぶつ基金が2005年から動物愛護事業の基軸として行っている「さくらねこ無料不妊手術事業」があります。この事業により、飼い主のいない猫の不妊去勢手術が無料で行えるようになりました。沖縄県でもこのチケットを使用できるどうぶつ基金の協力病院があり、一般の方でもチケット申請をし、チケットを利用できます。TNRの成功の秘訣は、すぐやる、すべてやる、続けること。新たに流入した猫がいれば、継続してTNRをすることで増えません。
①さくらねこ無料不妊手術チケットの申請
どうぶつ基金のTNRどうぶつ基金マイページの登録をすることで、さくらねこ無料不妊手術のチケットの申請ができます。(申請期間:毎月1〜5日) →どうぶつ基金マイページはこちら
②協力病院へ手術日の予約
申請したチケットは抽選となり、当選した場合は郵送で届きます。手術日の予約をします。※チケットはどうぶつ基金の協力病院で申請した月の翌月の1ヶ月間のみ有効。
③猫を捕獲し、チケット持参で病院へ
手術日に合わせて、猫の捕獲をします。慣れていない猫は捕獲機を使用。※手術の前日は絶食。絶食する時間なども病院で要確認。
④猫を迎えに行き、元いた場所へ返す
病院へ迎えに行き、できれば1日様子を見て、翌日に捕獲した場所と同じ場所へ返します。どうぶつ基金へ完了報告をすれば終了です。→公益財団法人どうぶつ基金についてくわしくはこちら
地域猫活動について
地域猫活動とは、地域の理解のもと、野良猫の不妊去勢手術を行うとともに、地域の住民等の有志により、野良猫を適正に管理していくことで、野良猫の数とトラブルを減らしていく取り組みです。
飼い主のいない猫が増える原因は大きく二つあります。一つは、猫を捨てる人がいること。また、もう一つの大きな原因は、飼い主のいない猫どうしが繁殖して、仔猫が生まれることです。飼い主のいない猫トラブルを解決する方法の一つとして地域猫活動が推奨されています。
※行政は駆除目的の引き取りは行っていません。
具体的な活動としては
・飼い主のいない猫を今以上に増やさないための活動
・今生きている猫が「地域猫」としてその地域と共生するための活動
・猫による迷惑をできるだけ減らすための活動
・寄生虫や感染症の発生源になることのないよう、猫の健康管理にも留意する
となります。 このなかで重要なのは飼い主のいない猫を今以上に増やさないことです。猫の数が減れば、猫による迷惑も当然減少します。世の中には、猫が好きな人も、嫌いな人など様々な価値観があり、話を聞くことも大切です。
【野良猫を苦手と感じる人】
・家の敷地内にフンやオシッコをされる
・敷地内で子猫を産んでしまった
・さかりやケンカの鳴き声がうるさい
・餌をあげる人のマナーが悪い
【野良猫を助けたいと感じる人】
・お腹いっぱい食べさせてあげたい
・不妊去勢手術をしたいけど捕まらない
・餌を与えているだけで文句を言われる
・猫が外で暮らすのはかわいそう
猫が好きな人も嫌いな人もどちらの人も思っているのは、「野良猫はいない方がいい」ということ。
そこで問題解決方法として取り上げられているのが猫を排除するのではなく、
①この問題を地域の問題として捉え
②猫も命あるものだという考え方で
③その地域にお住まいの皆さんのご理解と協力の元に
「地域で猫を適正に管理しながら共生していく」というものです。
沖縄県で数少ない地域猫活動を行う自治会が設置している猫トイレです。プランターに砂を入れています。猫が気にいるトイレ作りに努力されていました。その結果、糞尿による苦情がゼロになったそうです。清掃は住民ボランティアが当番制で行っています。
私たちは最初のTNRのみをお手伝いをした自治会です。多くの住民が参加してくださりました。その後も自治会の方が継続してTNRを行い、現在は地域猫活動となり、猫トイレを設置しているそうです。
愛護動物の遺棄・虐待は犯罪です
動物を飼うことは、その動物の一生に責任を持つことです。飼えなくなったからといって遺棄(捨てること)し、死に至らしめたり危険にさらすことは犯罪です。また、生まれてくる命に責任が持てないのであれば、不妊手術などの繁殖制限を行いましょう。
犬や猫などの愛護動物をみだりに殺傷したり、みだりに給餌・給水をやめることにより衰弱させる等の虐待行為も犯罪であり、禁止されています。
令和元年6月19日に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、令和2年6月1日から遺棄及び虐待に対する罰則が強化されました。
※愛護動物とは
人に飼われている「哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物」および、飼い主の有無にかかわらない全ての「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる」
- 犬や猫などの愛護動物をみだりに殺したり傷つけた場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます。
- 犬や猫などの愛護動物に対し、みだりに暴行を加えたり、餌や水を与えずに衰弱させるなどの虐待を行った場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
- 犬や猫などの愛護動物を遺棄した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
※虐待や遺棄を見かけたら、最寄の警察署に通報してください。